安倍元首相を踊らせた!? 首相官邸での衝撃プレイの裏側を暴露|MASTA SIMON インタビュー#5

 

Project2」のテーマである“Healthy Junk”の精神をもとに、ゲストに潜む相対する中身、二面性にフィーチャーしていく特別インタビュー。

 

今回は、日本を代表する唯一無二のダンスホールレゲエ・サウンドであり、国境を越えて世界中のファンからリスペクトを集めるMIGHTY CROWNからMASTA SIMONをゲストに迎える。インタビュアーを務めるのは芸能界屈指のレゲエファンとしても知られるお笑いコンビ・チョコレートプラネットの松尾駿。

 

突然の活動休止の真意やこれからのレゲエシーンに思うことを聞かせてくれたパート4。今回は当時の安倍首相を「踊らせた」という逸話を持つ首相官邸でのプレイの裏側を聞かせてくれた。

 

ジャマイカ首相の来日を記念して首相官邸でプレイ

 

松尾:何年前かな? 首相官邸で、当時の安倍首相の前でプレイされていますよね。

 

SIMON:確か2019年かな。

 

松尾:あれはどういった経緯でやることになったんですか?

 

SIMON:2020年にオリンピックがあるはずだったでしょ? それで、日本にジャマイカの首相が来たときにリクエストで「MIGHTY CROWNを招待してくれないか?」みたいなことを言ったんじゃないかな。それで、外務省からいきなり事務所に電話がかかってきて。

 

松尾:外務省から!?

 

SIMON:なかなかないよね。外務省から電話がかかってくるって。

 

松尾:なんかちょっと、詐欺じゃないかって思いますよね。

 

SIMON:「あれ? 俺らなんか悪いことしちゃったかな」みたいな(笑)。

 

松尾:(笑)。いや、そうなりますよね。

 

SIMON:外務省から電話がかかってきて「食事会でプレイしてくれ」って言われて。やっぱり政治的なことになるといろいろな意見があるわけじゃん? 安倍さんが好きな人もいれば嫌いな人も当然いるわけであって。でも、これは両国のトップが集まるわけだから「これは行くっしょ」みたいになって。

 

松尾:即決だったんですか?

 

SIMON:いや、最初考えた。でも、違う奴が代表で行くんだったら「そこは俺らでしょ」って思って。それで、食事会って言うから、立食パーティで100人とか200人ぐらいいるような感じだと思って行ったら、ガチの10人ぐらいしかいない。

 

松尾:(笑)。

 

SIMON:日本サイドとジャマイカサイドに分かれるんだけど、俺らはなぜかジャマイカサイドに座っているんだよね(笑)。

 

松尾:そうなんですね!

 

SIMON:でも、俺らどう考えても浮いてるじゃん?

 

松尾:最初に写真を見たとき、合成写真かと思いました。

 

SIMON:それけっこう言われた。「あれ合成でしょ」って。

 

松尾:スーツ着ていたじゃないですか。あれは「スーツでお願いします」とか言われるんですか?

 

SIMON:一応「平服で」って言われたんだよね。それで食事してたら、「じゃあ、MIGHTY CROWNどうぞ!」っていきなり安倍さんに言われて、「どうぞって、このタイミングでいきなりプレイするのかよ」とかって思って(笑)。

 

松尾:(笑)。

 

 

音楽でつないだ日本とジャマイカの絆

 

SIMON:実は、外務省には「日本の人たちがわからないので、MCをするときは一切英語を使わないでください」って言われてたの。

 

松尾:ええっ!?

 

SIMON:でもさ、「ジャマイカの人たちをおもてなしするんじゃないの?」と思って、そんなのシカトじゃん?

 

松尾:え? シカト(笑)。

 

SIMON:最初は日本語だったけど、すぐに英語とパトワ語で。そうしたらジャマイカサイドは「お! わかってるね」みたいな感じになって。でも、最初の23曲はいままでやったいろいろなイベントのなかで、一番「長い」と感じた。だってみんな動かなくて、地蔵みたいなんだもん。

 

松尾:(笑)。

 

SIMON:ジャマイカはちょっとずつ揺れているんだけど、日本の人は全然動かないんだよ。それで、当時流行ってたKoffeeの「Toast」って曲が、“Toast”乾杯っていう意味で、まさしく日本とジャマイカの友好みたいな感じでいいかなと思ってかけた瞬間に、ジャマイカの人はバッと立ち上がって、ノリノリで踊りながらDJブースの方に来るんだよ。俺はMCしながら「お、来たぞ来たぞ」って(笑)。そうしたら、安倍さんも負けじと立ちあがって、踊りながら来てさ。

 

松尾:へー!

 

SIMON:お互い踊っているんだよ。俺らが踊らせちゃっているみたいな感じで(笑)。

 

松尾:そんなサウンドいないっすよ。

 

SIMON:あとになって「いままで首相官邸でライブとかDJとかプレイした人いますか?」って聞いたら、誰もいないって。演歌の人がアカペラでちょっと歌ったとかはあったらしいんだけど、俺らが初だったみたい。まあ、そういう感じですごく喜ばれて、「ジャマイカと日本をつなげてくれてありがとう」みたいな感じで両首相からほめられて(笑)。あれはいままでいろいろなストーリーがあるなかで、面白い出来事のひとつだね。

 

松尾:なかなかないですよね。

 

SIMON:アメリカだったらホワイトハウスでプレイするみたいなノリだよね。

 

松尾:それよりもっと敷居が高そうですけどね。

 

SIMON:そうかもしれないね。ホワイトハウスはラッパーとかはちょこちょこ行っているからね。

 

松尾:あれは衝撃でした。

 

SIMON:そうだね。あれはなかなかだよね(笑)。

 

 

次回の最終回では、チョコプラ松尾のレゲエシーンに対するアツい想いにMASTA SIMONが応える。

 

▼MASTA SIMONのインタビュー動画はこちら!

 

 

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