お台場のフッドスター、イッツミー|DALUインタビュー#1

Project2」のテーマである“Healthy Junk”の精神をもとに、ゲストに潜む相対する中身、二面性にフィーチャーしていく特別インタビュー。

 

6月に前作から1年半ぶりのアルバム『Unbirth』をリリースしたラッパーDALUNormcore Boyzを経て、Tokyo Young Visionのフロントマンとしても注目を集める彼にフォーカスを当て、深掘りしていく。

 

インタビュアーを務めるのは、自身のYouTubeチャンネルを中心に、HIPHOPとファンションカルチャーにまつわる情報を発信しているレイ。

 

初回はラップをはじめたきっかけから、ソロとグループでの活動の違い、影響を受けているラッパーについて語ってもらった。

 

 

ニュージャージーアンダーグラウンドと高校生RAP選手権に同時に食らう

 

レイ:ラップを始めたきっかけは?

 

DALU:高校生のとき1年だけアメリカのニュージャージーに住んでて。ラップやる前はパンクとかロックがずっと好きで、中学生のときにバンドを23ヶ月やっていて、音楽に触れていたんだよね。中学卒業と同時にアメリカに行って、ローカルのハイスクールに入ったんだけど、英語がぜんぜん喋れなかったからマジで友だち全然いなくて(笑)。でも、たまたま日本のカルチャーを知りたいという子たちがクラブを作ってた。

 

レイ:日本クラブみたいな。

 

DALU:そうそう。俺は日本語しかしゃべれなくて英語を知りたい、あっちは英語しかしゃべれなくて日本語を知りたい。奇跡的に合致したから、「イエーよろしく」みたいな。「日本の音楽教えてよ」って聞いてくるから俺は当時の日本のパンクを聴かせて、あっちからはアメリカのヒップホップを教えてもらう。そういう、ご飯食べながら音楽をシェアする環境があって。

 

レイ:DALUはどのアーティストを聴かせたの?

 

DALUONE OK ROCKはアメリカのみんなもバコーンと、「こいつらヤバくね?」みたいになった。

 

レイ:英語もしゃべれるしね。逆に向こうが紹介してきた曲というのはどうだったの?

 

DALU:なんだっけな? 全然覚えてない(笑)。けっこうローカルな、アングラな感じのヒップホップだった気がする。

 

レイ:それメチャメチャ気になるな。ニュージャージーのヤバいラッパーを紹介してくれたんだ。

 

DALU:そのときは全然わからなかったけどね。日本の先輩とも連絡取ってたから、ちょうどその頃『高校生RAP選手権』が流行ってて、「お前もこれ観たほうがいいよ」と。アメリカ人からヒップホップを教えてもらっているのと同時に、日本からはブームになっているフリースタイルやMCバトル、高校生たちがやっているカルチャーを教えてもらっていて。日本に帰ってきてすぐ、その先輩たちと「暇だからフリースタイルしない?」みたいになって、それが俺のルーツです。

 

レイ:地元のみんなでサイファーを。

 

DALU:先輩たちと俺でやっていて、のちのちNormcore BoyzとかTokyo Young Visionのメンバーが合流してくるみたいな。いろいろあったのよ、結局ね。先輩と俺の関係に。まあ、戦って(笑)。喧嘩したりとか。いまは仲いいんだけど、その当時はそういうのがあって。一昨日お台場でライブしたんだけど、一緒にラップをしていた先輩たちはみんな観に来てくれてた。

 

レイ:やっぱり喧嘩とかしてもさ、心の底ではDALUのことを応援しているんだよ。地元のスターみたいな感じで。

 

DALU:そうね。

 

レイ:いいねえ。

 

DALU:完全にフッドスター。

 

レイ:お台場といったらDALU

 

DALU:イッツミー。

 

 

ギンギン鳴り散らかしているオートチューン

 

レイ:ソロとTokyo Young Visionの分け方は?

 

DALU:楽曲のジャンルかな。ソロは本当に自分の持ち合わせているルーツをすごく前面に出していって、クルーでやるときはバランスをちゃんと見ながら、どっちかというと「言うことを聞いているほう」です(笑)。「今回ラップして」とか「歌ってもいいんじゃない」とか。選択肢を出されたなかで「じゃあラップするわ」みたいな感じで選んでいる。大体クルーのときはTYVのやつらが作ってきたものを聴きながら作ってる。じゃないと帳尻が合わなくなっちゃうから。

 

レイ:ソロは基本自分でやりたいようにやる?

 

DALU:やりたいように。自分が本当にやりたい人をキュレーションして声かけてるね。今回ファンクとかもやったけど、合いそうな人たち。ラップしていようが関係なく「この人だったら合うな」と思う人にオファーする。知名度とかも関係なくね。

 

レイ:影響を受けたラッパーは?

 

DALU:最近だったら、やっぱりトラヴィス・スコットにメッチャ影響受けた。トラヴィス・スコットだけじゃなく、ドン・トリヴァーとかカクタス・ジャック・レコードのアーティストにすごく影響を受けている感じ。

 

レイ:そうなんだ。オートチューンもその影響?

 

DALU:オートチューンを使い始めた理由は、そこまで歌もうまくなかったからなわけよ。オートチューンというものがあることを知って、逆に「どういう海外のアーティストがオートチューンを使っているんだろう?」ってディグったんだよね。201718年くらいだったかな、トラヴィス・スコットのギンギン鳴り散らかしているオートチューンが新鮮すぎて。トラヴィスって音源とライブのオートチューンのコーラスの違いを明らかに見せてくるじゃん。

 

 

レイ:DALUも実際にライブのときに、曲通りじゃなくてオートチューンでわざと音程を変えるときあるよね。

 

DALU:そうそう。いい意味で分けられるようになってきた。

 

レイ:それを想定して曲も作っているの?

 

DALU:まだ全部とは言えないけど、それを想定して作っているものが多かったかな。

 

レイ:メチャメチャ頭使っているじゃん。ヤバいね。

 

DALU:まあ頑張ったね(笑)。今回出したアルバムとかもライブをメインで考えていたから、壮大な曲とか生楽器とかでバーンて聴かせる曲とかを作っていたのも、全部パフォーマンスのためで。そうしたら1年半ぐらいかかったという。

 

次回はYoung DaluからDALUに改名した理由、ファッションへのこだわりを聞く。

 

▼DALUのインタビュー動画はこちら!

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